(書きかけで網羅的な説明は全然できていませんが、「Advantage2が動かなくなった!何か方法を知りませんか!?」という問い合わせをいただきましたので、トラブル解消法だけでも載せようと思って。。)
Kinesis Advantage2 には2MBのOnboardメモリが搭載されており、自分の好みに合わせてキーをリマップしたりマクロを記憶させること等が可能です。Kinesisはそれらの機能を総称して”Smart Set Programming”と銘打ち、Advantage2の目玉として打ち出しています。また、これを快適に実現するために、以前から課題と言われていたファンクションキー群をメカニカルスイッチ化しています。
Advantage2が手元に届いてからすぐに様々な機能を試してみてそれなりにその便利さを実感しましたが、(私の早とちり等から)いくつかの問題に直面したので、機能の概説と合わせて対処法を簡単に記しておこうと思います。基本的な箇所は前回のエントリにまとめているので、それも併せて参照していただければ。。ちなみに私の操作環境はWindows 10 Homeです。
1. Power User Mode (PUM)
キー操作だけで単純なリマップやマクロ登録は行なえますが、ダイレクトエディット等の発展的な機能を用いるためには、まずこのPower User Modeに切り替える必要があります。「Progrm」+「Shift」+「Esc」を押下します。これが有効になっているかどうかは、エディタ等を開いて文字入力可能な状態にし、「Progrm」+「Esc」を押下してStatus Reportを表示させれば確認できます。最下行に”Power user mode> on”と入力があることを確認して下さい。再度同じ操作を行うとOFFにできます。
2. V-Driveを開く
PUMをONにして、「Progrm」+「F1」を押下します。”KINESIS KB”というUSBドライブとして認識されますので、通常のドライブと同じようにアクセスできるようになります。再度同じ操作を行うと接続が解除されます。
このドライブ内の構成は次のようになります。
”active”というフォルダの中にはいくつかのテキストファイルが入っています。ダイレクトエディットの基本的な対象は”dvorak.txt”と”qwerty.txt”の2ファイルです。プラグ時にデフォルトでV-Driveに接続する等の設定をする場合は”state.txt"の編集を行いますが、それ以外は操作の必要性はないです。”state.txt"は特に起動時にロードされる設定値が多く含まれ、不正な形式で入力してしまうとトラブルを引き起こすのでくれぐれも慎重に操作しましょう。
”firmware”には何も入っていません。ファームウェアアップデートを行うときにここにアップデートファイルを配置します。
3.Conditioning
User's Manualにはひっそりと記述されているだけ(!!)ですが、これは非常に重要な操作です。後述する「キーを押したとき/離したときのマクロ」や「マクロ中のディレイ挿入」といった発展的なマクロを作成するには”dvorak.txt”と”qwerty.txt”をエディタで直接編集することになりますが、ほとんどの場合たたき台となるマクロをとりあえず登録して、編集していくことになると思います。V-Driveを開いてすぐに編集したいところですが、そのままでは編集可能なデータになっていません(!)。これを編集可能な状態に変換するのが”Conditioning”という操作です。
方法は「親指キーの入力モードを変えること」。両方のキー配列モードにマクロを登録させた場合には、「Qwerty」と「Dvorak」それぞれに対してこの操作が必要です。例えば、Qwerty配列でWin親指モードでマクロを入力したときは、「Progrm」+「F6」でPC親指モードに一旦変更し、「Progrm」+「F7」でまたWin親指モードに戻します。これで”qwerty.txt”のConditioningが完了します。テキストエディタで対象のファイルを開いたときに次のキャプチャのように意味が判然とした文字列が並んでいない場合は、Conditioningを怠ってしまったことをまず疑うべきです。
4. Hard Memory Reset
「んっ・・・。んんっ!??」
ある時、Advantage2をプラグインしても入力ができなくなりました。さらに正確に言うと、クリック音を発しながら何度かLEDが光りはするのですが、その後どのキーを押しても一切反応しない。「まさか故障か?せっかく英語でやり取りしてまでアメリカから購入したのに…やっぱり初期出荷分は避けたほうがよかったのかしら…」と物憂げな感傷に浸りながらUser's Manualを読む。
原因は恐らく未Conditioningのqwerty.txtを編集してしまったことでしょう。もしかしたら別の編集時に最下に記述してあるマクロ文字列とEOFの間に改行を入れていなかったかもしれない。
まあ、つまりは不正な形式でqwerty.txtを更新してしまって、Active Layout Fileがqwerty.txtだったもので、起動時に止まってしまったのだと思います。
直すにはハードリセットです。プラグ時に「右Ctrl」+「F9」を押し続けましょう。そして中央のLED群が4回点滅するのを確認してキーを離します。これでqwerty.txtが初期化され、正常に動作するようになるはずです。
5. Reformatting
上記のトラブルが起きた原因を究明できないまま(つまり、ダイレクトエディットの前にConditioningが必要であることを認識せずに)懲りずに乱暴な操作をしていると、今度はマクロの登録等の設定が保存できなくなってしまいました。V-Driveのファイルを編集して打開を図りますが、なんと「State.txt」と「qwerty.txt」がCorruptしている様です。
Corruptです。上の失敗を受けて編集前のファイルはバックアップをとっていましたが、ファイルが破損しており置換操作も受け付けてくれません。
これはもうどうしようもない。Tech Supportにメールで問い合わせました。英語で。
「あなたの仰る通り、ファイルがCorruptしていますねー。設定ファイルを直接触ったでしょ?やっぱり!それはもう”Reformatting”するしかないですねー。」
ああ、すぐに状況を理解してくれてよかった。えーと、”Reformatting”ね!User's Manualを見てみよう。
「ダイレクトエディットするときは十分に注意して下さい。万全を期すため、海外のユーザーはIMEをENに切り替えて余計な文字を打ち込まないようにして下さい。設定ファイルが破損したときは、ハードリセットを行って下さい。それでもダメなら、工場出荷状態に戻すために最終手段、”Reformatting”を実行して下さい。」
いや、うん。だからそのReformattingって何なんですか!?
「”Reformatting”が何かって?V-Driveは開けますか?ではもうReformattingをするだけですよ!」
いや、だから!!その”Reformatting"がどういう操作かって尋ねているんですよ!
「Oh~...じゃあ操作を順を追ってキャプチャつけて説明しますから、ぜひ試してみてください。」
そして添付されてきたキャプチャがこれ↓
ごめん! ごめん、Kinesis!
ごめん、Ricky(Tech Supportの方)!!
と、まあこのような茶番があったのはひとえに私が英語に不慣れなことが原因なわけでして、さほど大きくない会社のKinesis社は新製品発売で多忙を極めているであろうところ、多大な迷惑を掛けてしまったこと、深くお詫び申し上げる次第でございまして・・・(でもいきなり”Reformatting”とか言われても、ただドライブをフォーマットするだけとは思い至らないですよ…Advantage2固有の何らかの操作をそう呼んでいると思い込んでいましたし…(←懸命な自己弁護))まあ、日本のユーザが私みたいに勘違いしてTech Supportを煩わせないためにもこうやって対処法を説明しているわけですから大目に見ていただきたい!
(もう説明する必要も無いと思いますが、)ファイラーからKINESIS DBを右クリック>フォーマットと選択します。キャプチャにあるようにファイルシステムは「FAT」を指定してください。フォーマット後にドライブ内のファイルおよびフォルダが何も存在しなくなったことを確認してリプラグします。すると、出荷状態の構成でファイルが再生されます。念のため、このあとConditioningを行って下さい。
(追記予定…)
テキトーに操作したせいで何度かトラブルを引き起こしてしまいましたが、現在も無事にAdvantage2を使用できています。英語も得意でないので購入時には懸念も多かったですが、購入時から上述のトラブル時にもつたない英語を使う購入者に対してよく対応してもらえました。製品自体も素晴らしいものですが、その対応の方にむしろ非常に満足している次第です。KINESISとはこれからも末永く付きあっていけたらと思います。
いじょう++