Apr 23, 2018

自省録 - マルクス・アウレーリウス

自省録 - マルクス・アウレーリウス 特筆すべきは、たとえば雄弁とか、法律、倫理、その他の事柄に関する知識など、なにかの点で当別の才能を持った人びとにたいしては、妬みもせずにゆずったこと。それのみか彼らを熱心に後援して、各々がその独特の優れた点に応じて名誉をうるようにはからったのであった。(第1巻一六) 思い起せ、君はどれほど前からこれらのことを延期しているか、また行く度神々から機会を与えて頂いておきながらこれを利用しなかったか。しかし今こそ自覚しなくてはならない、君がいかなる宇宙の一部分であるか、その宇宙のいかなる支配者の放射物であるかということを。そして君には一定のときの制限が加えられており、その時を用いて心に光明をとり入れないなら、...

トニオ・クレエゲル - トオマス・マン

トニオ・クレエゲル - トオマス・マン 打ち明けていえば、トニオはハンス・ハンゼンを愛していて、すでに多くの悩みを彼のためになめて来たのである。最も多く愛する者は、常に敗者であり、常に悩まねばならぬ──この素朴でしかも切ない教えを、彼の十四歳の魂は、もはや人生から受け取っていた。そして彼の性質として、こうした経験をよく覚え込んで──いわば心に書き留めておいて、そのうえ多少それを楽しんでいるのだった。  しかしそれでも彼は幸福だった。なぜなら幸福とは──と彼は胸の中で言った──愛せられることではない。愛せられるというのは、嫌厭の念と入りまざった、虚栄心の満足である。幸福...